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RPGとぅうはあと ROAD3
                                             火鳥泉行



 【あらすじっぽいの】

 不意打ちにより怒りのレミィが放った矢が芹香の身体を貫こうとした瞬間、空間に不思議な力がはたらき、矢はそのまま地に落ちた。
 辺りを見回すと、建物の陰に一人の少女の姿が。
 彼女こそが、その名を大陸全土に知れ渡らせている超能力者、テレキネシサー琴音だった。





「あなたが・・・あの噂に聞くテレキネシサー琴音さん・・・?」
 葵が驚愕の表情でつぶやく。
 彼女の視線の先には、純白の法衣のようなものを纏った少女。
 見た目は弱々しく小柄だが、その身体の周りにはなにやら輝くオーラのようなものが見える。
「どうやら本物のようだな・・・・でもなんでここにいるんだ?聞いた話だとテレキネシサーは人前に滅多に姿を現さないハズだろ?」
「・・・・(お天気もいいことですし、日光浴でもしたくなったのでしょう)」
「先輩・・・ここではなんかボケ役一直線だな・・・・」
 浩之が嘆息する。
 まあこれはパーティーのバランス上、仕方のないことなのだが。
「と、とにかく!正義を名乗る私としてはあなたの悪事を黙って見過ごすわけにはいきません!」
 半身の姿勢になり、突き出すように屋根の上のレミィを指さす。
「か・・かっこいいそ琴音ちゃん・・・」
「なんか・・・私たちの立場ないですね・・・」
 フッ決まった・・・というような表情の琴音を(少し距離を置いて)眺めながら浩之と葵がつぶやく。
「・・・・(しかし、どうもポーズと服装のバランスが・・・)」

 琴音が一瞬石化した。

「・・・・そういえばそうだな」
「言われてみると・・・法衣にかっこいいポーズは少し不似合いな気が・・・」
「・・・・・(まあ、人のセンスに口出しするのもなんですから、ここは黙っていることにしましょう)」
 琴音の心臓に矢が2、3本突き刺さる。
 もちろん、それはレミィが放った物理的なものではないが。
「そーネ。こればかりはワタシたちがどーこー言える筋合いはないネ」
「敵にまで!!(泣)」
 レミィのとどめの一撃で琴音が撃沈する。
 が、彼女はすぐに起きあがった。
「ま、まあ疑うのも仕方ないですよね・・・・それなら実力でわかってもらうしかありません」
「なんか、どっちが悪なのかわからなくなるセリフだな・・・」
「・・・・(判断するのが面倒なので・・・)」
「とりあえず両方殺しちゃいますかぁ?」
 笑顔で葵が指を鳴らす。
「・・・(許可します)」
「まてまてまてぇーぃ!!」
 これは浩之。じりじりと二人に歩み寄る葵を手で制す。
「いかにも『人殺します!』ってカンジの琴音ちゃんはともかく、ドジでマヌケで何もできない役立たずのレミィを殺すのはちょっとかわいそうだろ」
「逆です!なんで私が殺されるんですか!」
「いやなんか危なそうな人だから・・・・」
「違います!私は正義の味方なんです!」
「なんかワタシ、一見優しそうに超失礼なこと言われてる上にないがしろにされまくってるんデスけど・・・」
 レミィの自己嫌悪を兼ねたつぶやきは二人の会話によってかき消される。
「ま、まあいいです。というわけでアナタ!覚悟しなさい!」
「なんかこれ、キャラの性格変わりまくりだな・・・ファンが見たら怒るぞ」
「ふぁん?」
「・・・・(ファンの方ごめんなさい)」
 ピキ――――ン
「先輩?」
「・・・・(おっと、どうやらなにかが降りていたようです)」
「どこかで見たネタでしたね」
「・・・・(きっと気のせいでしょう)」
 話が脱線する中、ただ一人わなわなと震えている者が一人――――
「・・・・もう私、なにも気にしないことにします・・」
 なにやらブツブツ言いながら琴音がふらふらと敵の方に近づいていく。
 と突然、彼女は目を見開き、両手を空にかざして叫んだ。

「意志無き物理よ、我が命に応えよ!!」

 琴音の両手を中心にして空間に波紋が広がる。
 同時に太い弦を弾いたような音が辺りに響いた。
「うわっ!なんだ!?」
「あっ!先輩、あれを見てください!」
 葵が指す方向を見る。
 そこには、さっきレミィが放った矢が空中に浮かんでいた。
「・・・・(なるほど。敵の武器をそのまま利用するのですね)」
「ちょ・・ちょっとタンマネ・・・・」
 芹香のつぶやきとレミィの嫌な予感は見事に的中した。

「汝の牙、彼の者へ!!」

 琴音の一声とともに空間中の矢が勢いよくレミィのもとに飛んでいく。
「キャアアアァァァァ!!」
 レミィの叫び声が悲痛に辺りに木霊する。

 空を裂く音が通り過ぎた。

「・・・・・」
「・・・・」
「・・・・(はずれました)」
 一気に脱力する。
「ナ・・ナハハハハ!ワ、ワタシ反射神経イイから無意識のうちに避けちゃったのネ!」
「大丈夫です。ホーミング式ですから」
 琴音の一言でレミィの動きが止まった。
 そして、冷や汗を感じる背中をゆっくりと振り返る。
 モノは、自分の50センチ手前を、間違いなくこっちに向かって飛んできていた。
「キャアアアアァァァァァ!!タァスゥケェテェェェーーー!!なんか最近ワタシこればっかりネェェェ・・・‥‥…」
 一瞬の瞬発力で矢を避け、全力で走り去っていくレミィを、3人(琴音は除く)はただ呆然と眺めているだけだった。
 もちろん、屋根づたいにしか逃げ道がないレミィが矢のスピード(しかもホーミング式)から逃れられるわけがないが。

 やがて、ちょうど3人の視界からレミィの姿が消えた所で、彼女の断末魔(笑)は聞こえたのだった。


「・・・・・」
「・・・・」
「・・・あの・・琴音ちゃん?」
「多くは語りません・・・・」
「いや、そうではなく・・」
 わざとやっているんだろうか、と疑問に思いながら浩之が苦笑する。
「大丈夫です。殺してはいません」
「いやまあ、それはどっちでもいいんだけど・・・」
「先輩、何気に非道いこと言ってますね」
 葵のツッコミはあえて無視して浩之が続ける。
「何か悪い物でも食べたのか?例えば性格反転キノコとか・・・」
 後ろを振り返った彼女が動きを止める。
「・・・・・」
「・・・・」
「・・・私はもう次の悪を倒しに行かなければ」
「え?一緒に来てくれるんじゃないんですか?」
 葵が残念そうに聞き返す。
 例えこの3人の誰もが同じセリフを言ったとしても、本当にそう思っているのは葵だけだろう。
「群れるのはあまり好きではありません・・・・またどこかで会うこともあるでしょう」
「・・・・・(と言うより、話の流れを考えるとまず会うでしょうね)」
「先輩・・・また何か降りてるんじゃ・・・」
 不審そうな目の浩之のつぶやきに、芹香は何事もないように首を振る。
「それではさようなら・・・」
 そう言うと彼女はゆっくりと、しかし満足げな足取りで3人の前から去っていった。

 彼女が去っていった建物の間の細い道から、誰かがゴミバケツにつまずくような音が聞こえたが、彼らはあえてそれがなんだったのかは考えないことにした。

「・・・・・」
「・・・行っちゃいましたね」
「不思議な時間だった・・・」
 しみじみと話をしながら、3人は誰もいない路地裏から町の中心へと歩きはじめた。




「うーん、どっかにいーバイトねーかな・・・」
「やっぱりそう簡単には見つかりませんよね」
「・・・・・(さっきの悪魔、捕まえてギルドに突き出せば少しはお金になったのでは?)」
 芹香の言葉に2人ははたと立ち止まる。
「・・・そうだった」
「ちょっともったいなかったですね」
「・・・・(まあ、過ぎたことを言っても仕方ありませんし・・・)」
「そうだな。さっさと次のことを考えようぜ」
「あれ・・・?」
 プラス思考トークの2人を傍目に、葵はふと、広場の中心に集まる人だかりを見つけた。
「どうした葵ちゃん?」
「いえ、あそこ・・・なにかあるんでしょうか・・?」
 会話を止め、葵の指す方向を見やる。
「・・・中でなんかやってるみたいだな・・」
「・・・・(どうやらストリートファイトが行われているようです)」
 その言葉に反応して葵が一瞬で芹香の方に振り返る。
 少し遅れて浩之が聞いた。
「何でそんなこと分かんだよ先輩?」
「・・・・(宣伝広告が落ちてました)」
「み、見せてください来栖川先輩!!」
 奪い取るように芹香の持っているチラシを見る。
「えーと、なになに・・・『天才格闘少女に挑戦する勇志ある者求ム!勝者にはまもなく3000ゴールド!』だとぉ!?」
 書かれている賞金の数字に歓喜の声を上げる浩之。
「葵ちゃん!」
「先輩!」
 意気投合(とは言ってもそれぞれの目的は少し異なるが)して2人が向き合う。
「頑張れ!葵ちゃんは強いっ!!」
「ハイッ!!」




「うわっ、スゲーギャラリーだな・・・」
「先輩、あっちで受付をやってます」
「よっし、早く行こうぜ!」
 そうして3人が受け付けへと足を運ぼうとした瞬間、周りから一斉に歓声が沸き上がった。
「なんだ?なにが起こったんだ!?」
「あ!先輩危ない!上です!」
 聞き返す間もなく、浩之は頭上に降ってきた重量級の男の体重につぶされる。
「ぷぎゃっ!!?」
「先輩!先輩大丈夫ですか!?」
「あーあ、また派手にやっちゃったわ・・・」
 心配そうに浩之のそばに駆け寄る葵の頭上、もといリング上から声が聞こえた。
「あ!?あなたは!!」
 その姿を見て葵が驚愕の声をあげる。
「あら、誰かと思えば葵じゃない。それに姉さんやオマケまでいるし」
「人を潰しといてオマケとはなんだ、って・・お前・・・あ・・あ・・」
「・・・(綾香ちゃん)」
 芹香の言う通り、そこに立っているのは武闘着に身をつつんだ少女―――芹香の妹の綾香だった。
「あら、もしかして葵も出るの?」
「ええっ!?そんな・・・綾香さんが相手なんて勝てるわけが・・・」
 そんな葵を無視して綾香はほぼ強引に話を続けた。
「ちょうどよかったわ。弱いヤツばっかでうんざりしてたの。葵ならいい勝負になりそう・・・・さあ早くリングに上がってきなさい葵っ!!」




 →続きます・・・







 【あとがきっぽいの】

 ども、火鳥です。
 なにも言うことはありません(爆)。またつまらぬものを書いてしまった・・・(死)

 「奇跡の想い」の感想、たくさんの人からいただきました。ありがとうございます。
 感動モノはちょっとネームがないなぁ・・・・次のはどんなのにしよう・・・・
 どなたかいいネームあったらぜひ下さい(ォィ

 それでは、ROAD4で会えることを願って。 >火鳥でした

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