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　　　　　　　　　ＴｏＨｅａｒｔ[Ｌｅａｆ]／松原葵ＳＳ

　　　　　　　　　　　　　　　夕陽色の森

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　write : M.HAGU
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　パシッ…
　パシッ…

　力が籠もっていない…
　音からもそれがつたわってくる…

　練習にぜんぜん力が入らない…
　今までこんな事はなかったのに…



「あ、そうだ、葵ちゃん」
「はい？」
「修学旅行のおみやげ、なにがいい？」
「…えっ？　…修学旅行って？」



　ひとりで練習なんて、この間までは当然のことだったのに…
　先輩がこのクラブに来てくれるまでは…

　結局、今日も練習を途中でやめてしまった…
　これで、もう１週間も・・・・・・
「こんなことじゃ、綾香さんに追いつけない…」



　・・・・・・・・・・
　結局、今日も練習にならなかった…
　これで８日目・・・・・・

　辺りは、もう夕焼けに包まれている…
　綾香さんに追いつかなきゃいけないのに…

　どうしてなんだろう？
　前はひとりでも練習できた…
　前はひとりでがんばってた…
　前は………

　前は？　…ひとりで？……

　いつからか…ひとりぼっちじゃなくなってた…
　いつからか、そばに先輩がいてくれた…

　先輩……

　いつだって私を励ましてくれた…
　いつだって私と練習してくれた…
　いつだって私のそばにいてくれた…

　先輩……

　今、どこにいるんですか？
　まだ、北海道なんですか？
　私………先輩に早く帰ってきて欲しいです…
　とっても…先輩がいないと…寂しいんです…


「せんぱい…」


「…早く帰ってきてください…」


　…………………

　バッ！

「きゃっ！？」

　突然目の前が真っ暗になった…
　ううん…ちがう……目をふさがれたんだ…

「だれ？　だれですか？」
「・・・・・・・・・」

　……………この感じ………
　この暖かい手…
　この暖かな雰囲気…
　声を聞かなくても…わかる…
　この手は…この人は…


「せ………ん…ぱぁい………せんぱぁいっ！！！」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＥＮＤ




[その後の二人を見る]

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