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先輩・・・
いつもわたしの傍にいて支えてくれた先輩・・・
一緒に練習して、一緒に帰って、一緒に笑って、一緒にデートして・・・
ずっとずっと同じ時間を過ごしたかったし、できるとも思っていた。

あの日までは・・・


Our time stopped・・・. written by YOCO


その日は雨の強い日だった

「先輩、雨止みませんね・・・」
「う〜ん・・・。しゃ〜ない、今日は休みにして帰るか」
「そうですね、じゃあ一緒に帰りましょうか」
「よし!そうと決まったらさっさと帰ろう!!」

わたし達は並んで学校から商店街に続く坂をおしゃべりしながら降りて行きました

「先輩、この頃また一段と強くなりましたよね!」
「そうかぁ?自分じゃわからないけどな」
「そうですよ!やっぱり先輩には才能があるんですよ」
「いや、葵ちゃんの教え方が上手なんだよ。わかりやすく的確に教えてくれるか らな」

いつもと変わらない風景
いつもと変わらない他愛も無い話
いつもと変わらない先輩
何もかもがいつも通りでした

「あっ、先輩。ここまででいいですよ」
「ん?そうか?どうせなら家まで送っていくけど?」
「いえ、先輩に悪いし・・・今日はここまででいいですよ」
「それならいいけど・・・じゃあまた明日な、葵ちゃん」
「はい、さようなら」
「そうそう、明日は今日の分まで一緒に頑張って練習しような?」
「はい!よろしくお願いします!!」

本当はもっと一緒にいたかったけど先輩に悪いと思って我慢しました
思えばその時我慢しないで家まで来てもらえばよかったと後悔してます


『ピーポー、ピーポー』

玄関に入るときに遠くからかすかに救急車の音が聞こえました
かすかに胸騒ぎがした気がしましたが、気のせいだろうと思っていました

「ふぅ・・・」
自分の部屋に入るなりわたしはベッドの上に倒れこみました
(・・・なんだろう、さっきから感じるこの胸騒ぎは・・・それに頭が痛くて気持ち が悪い・・・)
そう思っていたとき、
『トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・』
不意に電話の音が家に鳴り響きました
わたしはベッドから立ち上がり階段を下りて電話を取りました

ガチャッ

「はい、松原ですけど」
『あっ、あの、私神岸といいますが・・・』
「神岸先輩!?どうなされたんですか?」
『松原さん?』
「はい、葵ですけど」

『あの、あのね、浩之ちゃんが、うっ、うっ、浩之ちゃんがぁ・・・』
「先輩・・・?先輩に何かあったんですか!?」
『浩之ちゃんが・・・トラックに轢かれて死んじゃいそうなんだよぉ〜!!』

えっ・・・
何?先輩が?死にそう?
うそだぁ、だってさっきまで一緒にいたんだよ?
神岸先輩はうそが下手だなぁ
だって明日は今日の分まで一緒に頑張って練習しようって約束したんだよ?
先輩が約束破る訳無いよ。
ねぇ先輩?約束、守ってくれますよね?

その時からわたしと先輩の時計は止まった・・・

つづく


あとがき

私の第2作目です!ちょっとダークですね・・・。
つづくと書いてありますのできっと続くでしょう。

それではまた次回作で・・・。

☆感想、アドバイス等はここまでお願いします。takahiro-y@dan.wind.ne.jp


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