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−−−混沌の闇の夢幻−−−第二幕−−−

一博之


−−遊園地に行った次の日−−

ビシッビシッビシッ  バシッ  ビシッビシッビシッ  バシッ

浩之「あと十秒!」

ビシッビシッビシッ  バシッ  ビシッビシッビシッ  バシッ  バーーン

浩之「よし葵ちゃん休憩にしよう」
葵「はいっ先輩!」

俺と葵ちゃんは神社の所に腰を下ろした、休憩と言っても昨日の格闘技の批評をしているだけだ。

浩之「ところで昨日のテレビの奴だけどやっぱりあそこで蹴りを外したのが原因だよな」
葵「いえ、あの前のショートジャブが問題です」
浩之「ショートジャブが?俺はあのフェイントはしっかり出来てると思ったけど」
葵「あのフェイントはフェイントでもフェイントになってないんです」
浩之「フェイントになってない?あれがか?」
葵「えぇ、ショートジャブの時に既に目線が蹴る方に行ってましたから目を見れば避けるのは簡単です」
浩之「へー、さすがだな葵ちゃんは」
葵「いえ、私もビデオで二回目に気付いたぐらいですからまだまだですよ」
浩之「やっぱりビデオに撮って何度も見た方が良いのかな?」
葵「ひとまずビデオに撮って置いて判らないところを何度も見直すことですね」

批評をするだけでも充分に休憩になるし、そこから新しい発見や真実も判ることがあったりする。(俺だけだが)

葵「それじゃぁ先輩、そろそろ十分経つので練習を再開しましょう」
浩之「お、おう」

  ガサガサ…

葵「あれ?あれって来栖川先輩の所のセバスチャンさんですよね?」
浩之「あぁじじいだな、あんな所で何やってんだ?おーいじじい!」
セバス「じじいではぬぁ−い!」
浩之「ッくっ相変わらずでけー声だな、こんな所で何やってんだ?」
セバス「実は芹香お嬢さ…かーーーー!貴様には関係ぬぁーーい!」
葵「あの…芹香先輩がどうかしたんですか?」
セバス「なっ何故それを?」
浩之「自分で途中まで言いかけといて良く言うぜ、っで芹香先輩がどうしたんだ?」
セバス「貴様には関係ないわ!」
浩之「おっおい、じじい!行っちまった…」
葵「セバスチャンさん何か捜していたみたいですけど」
浩之「おおかた芹香先輩に頼まれた薬草か何かを捜してるんだろう、関係ねぇよ」
葵「でも何か慌てていたような…」
浩之「葵ちゃん!早く練習に戻ろう」
葵「はい!」

それからしばらく芹香先輩を見ることはなかった。しかし、学校を中心にじじいが何かを捜してるのを良く見かけた。

−−−半月後−−−


浩之「なぁみんな、じじいに何があったんだと思う?」
雅史「僕に聞かれても解らないよ」
葵「すみません、私にも判りません」
レミィ「おそらく落とし物ヨ、ヒロユキ」
あかり「う〜ん、やっぱり落とし物かな?」
志保「私の情報が正しければリストラされたってとこね」
琴音「…何か不吉な予感がします」
浩之「こ…琴音ちゃん冗談にならないからそう言うことは言わないでくれ」
琴音「…でも予感がするんです…」

  カツカツカツ・・・

浩之「あっじじいだ、問いただしてやる」
あかり「あっ浩之ちゃん」
セバス「かーーーー!」
浩之「てめぇいい加減に吐きやがれ!ここんとこ何してたんだ?」
セバス「お主などに言えるか!」
浩之「先輩関係のことか?」
セバス「き…貴様が何故それを?」
浩之「最近見ないから聞いてみただけだったんだがまさか当たりとは思わなかったぜ……」
セバス「くッしかたないお主等にはちゃんと話そう、実は芹香お嬢様が半月前から行方不明なのだ。」
浩之「それって誘拐か何かじゃねえのか?」
セバス「それが声明文も何も出ておらんのだ。」
浩之「じゃ俺等も捜してみる事にする。」
セバス「頼む、だがこのことはあまり明るみには出さぬようにお願いしますぞ。」
浩之「わかってるって。」


そして放課後


葵「先輩、何処行くんですか?」
浩之「きまってんじゃねえかオカルト研究部の部室だよ。」
葵「でも其処はもうセバスチャンさんが調べたんじゃ?」
浩之「じじぃでも気付かない影のない奴が居るんだよあそこには」

浩之「お〜い部長〜居るか〜?」
葵「え?ここの部長って芹香先輩じゃないんですか?」
浩之「あぁちゃんと部長は居るぜ。」
  がたがた
葵「先輩…今の音って?…。」
浩之「部長が返事をしたんだ。」
葵「え…でも誰も…。」
  がたがた
浩之「部長はこれが有れば話すことも出来るようになるんだ。」
葵「これってスピーカーですか?」
浩之「それ以外の何に見える?」
葵「スピーカーにしか見えませんけどそれをどうするんですか?」
浩之「置いておくだけだ。」
スピーカー「ビュゴ〜ビュゴ〜」
葵「え?先輩このスピーカー電源入ってませんよね…。」
浩之「あぁ電源は入ってない、部長が使ってるんだ。」
葵「部長がってえぇ?!!」
浩之「部長は幽体だからその回りに微弱な電磁波が生じるんだ(プラズマ説より)。」
スピーカー「ビュゴ〜」
浩之「なぁ部長は先輩が何処行ったか知らないか?」
スピーカー「ビュビュビュゴゴ〜ビュビュゴ〜ゴゴゴ〜」
浩之「え?魔法を使っていて消えた?」
スピーカー「ビュゴ〜」
浩之「ま…マジかよ…」
葵「先輩…魔法で消えたってどういうことですか?」
浩之「転送魔法の失敗か…召還の失敗で引き込まれたか…」
スピーカー「ビュゴゴゴ〜ビュビュ〜」
浩之「え?最近先輩が新しい本で研究してた?」
スピーカー「ビュビュゴ〜ビュ〜」
浩之「本棚の隠し棚にまだ入ってるだって?」

俺は先輩が使っている本棚の前に行くと逆さまになっている「痕」と言うタイトルの小説を半分引いて強く押し込んだ。
『ガコン』という音と共に本棚の足のところに取っ手が表れた。
棚を開けるとそこには半月前に先輩が読んでいた黒背表紙の本がそこにあった。
作者はラブクラフト…タイトルは『黒い書物』だ…俺はそれを手に取ると読み始めた。
そこに載っていたのは今まで先輩に教えて貰っていた魔法よりも一回りも二回りも上の魔法だった。
中には月齢に影響する魔法も多く見られた。
この本で先輩が消えたならこの始めの方にある次元移動の魔法だろう。
これは使用者本人が今行きたいところまでワープできるという眉唾物の魔法だ。
更にこの魔法の条件は数種の薬草から作った魔法薬と満月、先輩が消えた時期とピッタリ重なる…

浩之「葵ちゃん、もしかしたら先輩が居る所がわかったかも知れない」
葵「ホントですか先輩!?」

先輩は今年の夏休みにあった事件(LF97)で出会ったエリアという人と馬が合うらしく結構仲良くなっていた。
おそらく先輩はそのエリアという人に会いに行ったのだろう。

浩之「でも今は先輩の所には行けない…葵ちゃんこれを読んでみて」
葵「えっとFULLMOON…満月に何が?」
浩之「先輩は満月に開く道で何処かへ行った、追いかけるには同じ満月の道を使うしかない。今は新月、半月は待たないと…」
葵「………」
浩之「俺は半月後にこの道を使って先輩を連れ戻しに行ってくる、それまでの事は頼んだ。」
葵「…ぱい……先輩!私も連れていって下さい!」
浩之「あ…葵ちゃん、これは危ない旅になるかも知れないんだ。」
葵「だからこそ連れていって欲しいんです!先輩を危険な目に遭わせるわけにはいきません!」
浩之「葵ちゃんの意志はわかった…でも他の奴らには秘密にしといてくれ、他の奴らまで巻き込みたくないからな。」
葵「わかりました…これはみんなには内緒ですね…」
浩之「出発は半月後の夜12時、満月が真上に上がる時だ。」

そして俺は次の満月までに材料を揃えることにした。


ついに見つけた先輩の居場所。
果たして先輩は無事なのか?何処まで行けば会えるのか?
漢、浩之は葵ちゃんを連れていって良かったのか?
それは次回、混沌の闇の夢幻〜第三章〜へと続く




後書き

どうも、一博之です。
しかし小説とは不思議な物です、書けば書くほど長くなる。
書けば書くほど後を忘れる。(爆)
そんなこんなで遅れてしまった混沌の闇の夢幻〜第二章〜
いかがでしたでしょうか?いよいよ浩之達が旅立ちます。
私もこれから忘れたストーリーを取り戻すための旅へと出ようと思います。
出来の良さは保証出来る物ではありませんが私の出来る精一杯の事をやったつもりです。

参考資料  ラブクラフト
ラブクラフト、昔実在していたホラー作家、彼の作品にてネクロノミコンなどの魔導書が明るみとなる。
また、彼の名前を知る者は少ないながらも彼の作品を知る者は多い。

苦情、感想等はメールにてお願いします。

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