黒き島と影 『姫川 琴音編』 ユン・ファローナ
「はぁ〜っ、疲れた・・・。」
私はそういうとあてられた部屋のベットに寝転がる。先の戦いで私は戦闘員の皆さんの援護しか出来なかった・・・・。私には力があるのに・・・・、危険な力・・・。何でこういう時だけ思いどおりにならないの?
私は疲れているにもかかわらず、部屋を出る。このまま部屋にいても余計なことばかり考えてしまいそうだから・・・・。藤田さんが余計なことを考えそうになったら軽くぶらついてみるのがいいと言っていたのを思い出したのかな?
「あ、姫川さん。」
部屋を出るなり、声をかけられる。私は驚いて声の主の方を見る。
そこには、きれいなブロンドの髪をなびかせた宮内先輩が立っていた。やっぱりきれいな人だと思う。ハーフってだけじゃなくてなんかこう・・・人としての美しさなのかな?
「宮内先輩、もう大丈夫なのですか?」
先の戦いで強力すぎる武器を使ったせいで体に相当のダメージが残っているはずなのに、今は笑顔で私を見ている。
「ノープロブレム!心配ないヨ。それより姫川さんのほうが心配ネ。元気ナイヨ?」
宮内先輩は私よりずっと背が高いため私の視線に合わせるためには少ししゃがまなければならい。
宮内先輩は私の目線と同じ位置に自分の目を持ってい来ると、じっと私の目を見る。
「ホラ、元気ないネ。顔色よくないヨ。」
そういうと宮内先輩は私の手を急に掴むと引っ張っていく。あまりにも急だったためそのまま何も言えずに付いて行ってしまう。
それからしばらく歩いて、宮内先輩はある場所で止まった。そこは・・・・
「娯楽施設?」
そう、ここは元研究所だが私たちが来ることになり、多少の娯楽も必要だろうということでこの研究所に特別に取り付けてもらったものらしい。
「Yes!そういう時は、ゲームで気分転換するネ。急がば回れ、どんなことで悩んでいるかは判らないけど悩んだっていいことないヨ。」
それから宮内先輩に私は数時間ここのゲームコーナーに足止めされた。最初は仕方がなくって感じだったけど、だんだんやっているうちに楽しくなってきて終わるころには2人とも息が切れるくらい遊んでいた。
「宮内先輩、ありがとうございました。お陰でだいぶ気分がよくなりました。」
そうだ・・・悩んでたって始まらない、後悔するよりも何か自分のやれることから少しずつ始めていけばいいんだ。
そういえば宮内先輩誰から教えてもらったのかな?この気分転換の方法・・・・。
「Oh!元気になったネ。姫川さんはヒロユキから悩んだら外をぶらついてみろって言われたでしょ?」
確かにそうだけどなんでしってるんだろう?
「あの・・・・。何でそのことを・・・?」
「ワタシもヒロユキから教えてもらったヨ。それでも気分が晴れなくてそうしたらヒロユキが町でよくいくゲームセンターってとこ連れて行ってくれたデス。」
そうなんだ・・・・。藤田さんって不思議だな・・・・。私の超能力を知っても唯一逃げなかった人・・・・・。逃げるどころか使いこなせるよう協力してくれて・・・・
そんなこと考えていたらふいに肩を叩かれる。
びっくりして、後ろを振り向くと藤田先輩が立っていた。
「よぉ!レミィに琴音ちゃんじゃないか。どうしたんだ?」
何でこんなところにいるのか、って顔してますね。まあ、私や宮内先輩はゲームセンターとはあまり縁のない人間ですし・・・・しかたないですね。
「ハーイ!!ヒロユキ!今ね姫川さんの気分転換を手伝っていたんデス。ヒロユキも一緒にどう?」
宮内先輩は藤田さんを誘う、私も少し藤田さんと遊んでみたい。すると藤田さんはあっさり
「ああいいぜ、そこに対戦式のシューティングがあるからそこで遊ぼうか。」
藤田さんは微笑むと、私たち2人を連れて問題のゲームのところに連れて行ってくれた。結果は、当然完敗。私と宮内先輩とが組んでも勝てない。
「ヒロユキ少しは手加減してよ。」
宮内先輩は少し膨れているが、藤田さんは笑って、
「手加減なんかしたら、必死になれないだろう。必死になるからこそ悩みも忘れられるし、笑っていられるんだと思うぜ。」
藤田さんは笑いながら娯楽施設を後にした。私も宮内先輩にお礼を言うと外に出た。
さっき部屋にいたときにあった胸のモヤモヤがなくなっている。藤田さんと宮内先輩のお陰なんだろうな・・・・。藤田さんって人をひきつける力があるのかな?私の力とは違う力、人としての力・・・・・・。
私は空を見上げる。澄んだ青い空、風がゆっくりと流れていく。こんなに平和なフインキなのに、暴走した生物と戦っているなんて嘘みたい・・・・。
「こんな、所に居たって仕方ないわね。」
私はそういうと研究所内に戻ろうとした・・・が、急に頭の中に数体の変な生物が研究所内に向かっているところが浮かぶ・・・・。
「これは・・・!?いけない!!」
物を動かしたりする以外の私の超能力、予知能力だ。
私は急いで研究所の中に行き他の皆さんに危険を伝える。最初は皆さん信じがたいような表情をしていましたが藤田さんの一声で一致団結してくれました。
「いくぞみんな。琴音ちゃんの予知能力は100%確実なんだ。急がないとやつ等がここに攻めて来るぞ!!」
でも、戦闘員の皆さんのスーツは相当のダメージが蓄積しているはず・・・・、今の戦いだって相当つらいはずなのに・・・。
「来たで!数は約10体、他の敵影もないし、こいつらを倒せば終わりや!!」
保科先輩がそういうと数キロ先にいろいろな生物がたくさん見える。さっき戦っていた生物達の残党ではないかというのがみんなの結論みたい。
生物はこっちに向かってくる途中で少しずつ数を減らしていく・・・・。宮内さんの狙撃と藤田さんの射的が敵の数を確実に減らしていく。
何かしなきゃ・・・。私はそんな衝動に駆られて敵の集団の真ん中に向かって手を向ける。そして気を集中して・・・・・。
バシンッ!!!
一瞬なにが起こったのかわからない・・・・。気を集中した瞬間何かに弾き飛ばされたような感じがして・・・気を集中できなかった・・・・。私の力に何か問題があるの!?それとも・・・・。
その時、ヘルメットの視界部分に何かのプログラムのようなものが開かれる。MIND・SYSTEM・・・・?そう書かれていたプログラムは勝手にいろいろなものを開いていく。
どうしよう、止められない。もしかして超能力のせいで壊れちゃったの!?
しかし、その心配はなく、すぐに開いていたプログラムは視界部分からきれいに消える。ただ違うのは体の中心から何か強いものが湧いてくるということだ。
私は一瞬ためらったが、もう一度敵の集団の真ん中に両手を向けて気を集中する。今度は何の問題もなく、いや、いつも以上に気を集中できる。まだ、藤田さんたちは敵に向かわない。
今しかない、私は思いっきり力を解放した。その瞬間、私も予想外の巨大な力の塊が敵の集団の真ん中で爆発、敵は全滅した。
「う・・うそ・・・」
私はそれしかしゃべる事が出来なかった。この力は、私だけの力ではない、このスーツのお陰?でもこのスーツは神岸先輩たちと同じ非戦闘員用のスーツであるはずなのに・・・・。
「今の・・・琴音ちゃんが?」
藤田さんは驚いている。当然かもしれない、藤田さんと一緒に超能力の練習していたときよりもはるかに強いものだもの・・・・・。
「へえ、姫川さん。ちょっと終わったらそのスーツ見せてくれへん?いろいろ調べてみたいんや」
保科先輩はそういうと、笑ってくれる。
他のみんなもんだ、誰一人私の超能力を見ていやな顔していない。笑顔で私を見てくれている。
「ありがとう姫川さん、あなたのおかげで助かったわ」
神岸さんは笑いながらそんなことを言ってくれる。
「琴音ちゃん、確かに超能力を見て君を疎遠する人もいるかもしれないけど、ここにいるやつらはそんなことはしないぜ。もう琴音ちゃんは一人じゃないって気づいてくれてもいいんじゃないかな?」
藤田さんは私の肩に手を置いて笑ってくれる。
そうして、今日はそれ以上敵も来ないし増援の方々が来るまでもちそうな気がします。
不思議な力は藤田さんだけじゃなくてその周りにいる皆さんにもあるみたい。でも、藤田さんはそれ以上に不思議な力があるみたい・・・。私はこの戦いが終わるまでにその力がなんなのかを見つけてみたいと思います。大切な人の大切な力・・・・見てみたいな・・・・・・。
あとがき
どうも、ユン・ファローナです。だんだん短くなっていく気がします。やっぱり、葵ちゃんと浩之が一番書きやすいなと思う今日この頃です・・・(汗)経験不足でおかしいと思うところもあるでしょうが・・・・目をつぶっていただけると大変うれしいです(爆)次は『松原 葵編その2』を作成中です。へったくそなSSですけど読んでいただけることを願って(っていうかこのあとがきを読んでいる時点で読んでくれているんですが)あいさつとさせていただきます。ユン・ファローナでした。