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<登場キャラクター>
[葵ディスティニー](松原葵)
戦場を駆ける蒼き死神(笑)。
エグザム(エクストリーム・グレート・ザ・ムテキ)システムを塔載する。
『ディスティニー』は、クルス・セ博士が付けた、愛のニックネームである。

[アルフ藤田](藤田浩之)
エグザムシステムを「研究」せざるを得なくなった被害者。
葵ディスティニーにベタボレ状態である。
ちなみに、『アルフ』も愛のニックネームである。

[フィリップ橋本][サマナ矢島]
最初は「事務」的に処理されていたが、後に「ザコ」扱い、更には「モブ」扱いにされてしまう男たち。
愛のニックネームは、彼らが独自に付けたものである(寂)。

[クルス・セ博士](来栖川芹香)
今回の事件の元凶。
エグザムシステムの開発者であり、愛のニックネームに人生の30%を賭ける。
事件後、エルクゥシステムの開発に乗り出そうとするが(笑)。



ヒロ戦士ガンタレ外伝1『戦慄のブルマ』

※このSSは「葵」を「ブルマ」と呼ぶと意味が分かるような分からないような。


さて、放課後か・・・・今日は、葵ちゃんと同好会の日だったな。
毎週月・水はオカルト研究会、他のウィークデーはエクストリーム同好会。
う〜ん、我ながら学生らしい多忙な日々を送ってるなぁ。
いつもの神社に着くと、そこには既に葵ちゃんがいた。
うんうん、相変わらず真面目な娘だ。
「いよぅ、葵ちゃん。いつも早いな」
例によって軽い口調で声をかけたが、返事はない。
ただのしかばねのようだ。
ではなく。
「ん?どうかしたのか、葵ちゃん」
不審に思って葵ちゃんの顔を覗き込むと。
その目は、うつろだった。
例えるなら、機械。
いや、マジで。
さらに顔を近づけると、いきなり裏件が飛んできた。
ブゥンッ!
「うおっと!」
すんでのところで、オレは繰り出された拳をかわす。
いきなり、何故だ!?
オレは葵ちゃんにいきなり殴り付けられるほどひどいことをしたのか?
いいや、そんなことをした覚えはない。
ちょっとセンパイに「なでなで」してもらったり、琴音ちゃんに「あ〜ん」してもらったり、あかりに「お手」させたりしただけだ。(←おいおい)
そうか、きっと葵ちゃんは「志保ちゃん情報」に騙されているに違いない!
そうでもなければ、このオレに不意打ちを仕掛ける真似なんかするわけがない。
ちくしょう、志保のヤツめ。今度会ったらヤックバリュー決定だな。(←アンタねぇ・・・・by志保ちゃん)
そんな事を考えていた、一瞬が命取りになった。
ゲシッ!!!
あ、葵ちゃん必殺の上段回し蹴り・・・・。
稲妻のように強烈な一撃を食らったオレは、当然のように派手にっ吹っ飛ばされた。葵ちゃんの赤ブルマを拝むことが出来るのが、せめてもの救いか・・・・。(←アンタは救い難い)
!!
なにぃっ!?
あ、蒼い!蒼いブルマだとっ!?
ああ、オレの中の「葵ちゃん=赤ブルマ」の公式が崩れていく〜・・・・でも、蒼もちょっといいかも。脇にプリントされた「BD-1」って文字がちょっと気になるけど、そんな事は些細な問題だ。(←アンタ、モノホンね・・・・)
どさっ。
後頭部及び背中に激痛。
いらんコトを考えていたおかげで、受け身をとり損ねた。
「くぅぅ〜〜〜っ!!」
うめきながら転げまわるオレに一瞥をくれて、葵ちゃんは身を翻した。
その瞳には、なぜだか生気が感じられない。
そして、彼女が駆けていく先には、学校が見える。
「どーゆーコトなんだよぅ、これは!」
ぽんぽん。
幾分ダメージから回復して叫ぶオレの肩を、誰かが叩いた。
振り向くと、そこにおわすお方をどなたと心得る恐れ多くも天下の来栖川財閥ご令嬢にして先のオカルト研究会副部長であらせられるところの水戸光圀公ではありえないことは明白な事実といえどもであえぃであえぃこの狼藉者を斬り捨てぃ切り上げぃ四捨五入・・・・
----ERROR
----藤田浩之を再起動しています....
うむ、ハイキックのショックで少々暴走していたようだ。
気が付けば、そこにいたのは来栖川芹香センパイだった。
何か言いたげに、オレの方をじっと見ている。
くぅ〜〜、この視線に弱いんだよなぁ、オレ。
「どうしたんだ、センパイ?」
「・・・・・・」
「え?センパイじゃなくってクルス・セ博士だって?」
こくこく。
うなずくセンパイ。
博士って、どういう意味だろう?
オカルト博士にでもなったのか?
いや、それ以前に「クルス・セ」って、何?
そんなことを考えていると、センパイにしては珍しく矢継ぎ早に言葉を継いだ。例によって、ぽそぽそと、だけど。
「エグザムが暴走してしまいました?葵ディスティニーを止めなければなりません?」
まてぃ。
内容はよく分からんが、アレはセンパイがしでかしたことなのか!?
「センパイ」
「・・・・・・」
「・・・・クルス・セ博士。エグザムってのは、いったい?それに葵ちゃんに」
「・・・・・・」
「いや、だから、その『ディスティニー』ってのは・・・・え?愛のニックネーム?」
「・・・・・・」
「・・・・葵ディスティニーに、何をしたわけ?」
センパイは、ちょっと唇に指を当てて逡巡した後、葵ちゃんに起こったこと(というか、センパイが葵ちゃんにしでかしたこと)を話し始めた。
事の発端は、カンタンである。
葵ちゃんがセンパイに「あがり症を治す方法」が無いか、と相談したのがそもそもの間違いだった。
センパイはその要望に応えるため、例によって魔術的方法をとったらしい。
で、幾度かの実験の後に出来上がったのが、あの蒼ブルマ「ブルマ・ディスティニー」なのだ。
「ブルマ・ディスティニー」はセンパイが開発したエクストリーム・グレート・ザ・ムテキ、略して「エグザム」システムを織り込んであり、はいた者の格闘能力を驚異的に引き上げ、かつ精神的に無敵の状態にしてしまうらしい。更には、痛覚や感情すらも抑制し、完璧なまでの戦闘マシーンと化すという。
・・・・って、無茶苦茶ヤバイやんけ!
「・・・・・・」
「ああ、言われなくても葵ちゃんを助けてみせるぜ!ところで、その『アルフ藤田』ってのは・・・・?」
「・・・・・・」
「やっぱり、愛のニックネームなワケね・・・・」
「・・・・・・」
「そんなモンに人生の30%も賭けんでいいっ!」
センパイにマジ突っ込みを入れたオレは、皆まで聞かずに葵ちゃんを追った。センパイの情報が確かなら、事は一刻を争う。こんなコトで葵ちゃんを犯罪者にさせてたまるかっ!

その頃、学校の一角校舎の脇で、橋本先輩と矢島が話し合っていた。
いかにチョイ役の自分たちでも愛称ぐらいあってもいいはずだ、という話である。
話し合いの結果、フィリップ橋本、サマナ矢島という『愛のニックネーム』が決定された。
妙に『事務』的な処理と文章であるが、それは設定上やむを得ない。
で、そういった話し合いが終わったちょうどその時である。
「あ、フィリップさん、向こうから誰か走って来ますよ!」
「あぁ?あれはヒロインの一人『松原葵』じゃないか」
見れば、とても常人とは思えないスピードで走り寄ってくるのは、確かに葵ちゃんだ。
「見ろ!愛のニックネームを付けた途端、ヒロインが駆け寄ってくるんだ。俺達に足りなかったのは、これだったんだよ!」
「か、感動ッスよ、フィリップさん〜〜〜!」
確かに、駆け寄っては来ているが。
どげしっ!
矢島の顔面に葵ちゃんの走り込み跳び蹴り(通称志保ちゃんキック)がクリーンヒット。
バキッ、どすっ、ズダン!
橋本に肘打ち・膝蹴り・背負い投げのコンボが炸裂。
「・・・・短い夢だったな」
「・・・・そうッスね」
所詮、事務的に処理されている男たちなど、こんなモンである。

葵ちゃんを見つけるのには、そう苦労はなかった。
とにかく、騒動が起こっている方を目指せばよいのである。
幸いなことに、今のところ被害はほとんど出ていないようだ。
途中二人ばかりチョイ役が倒れていたが、まあそれに関しては問題はない。(←アンタ、鬼ね・・・・)
問題は、どうやって葵ちゃんを止めるかなのだが・・・・。
う〜む。エグザムを発動させた葵ちゃんを止めるのは、容易ではないぞ。
力では、そもそもかなわない。エグザム抜きでも葵ちゃんはオレより強いもんな。オレはまだ、死ぬには惜しい人間だ。強攻策は控えよう。
やはり、ここは愛の力で・・・・って、感情がスッ飛んでるんだっけ。これもパス。もし失敗したら、シャレになんねーからなぁ。肉体的にも、精神的にも。
とにかく、オレの身が危険にさらされるのは避けたいところだ。
この際他人の力を借りるか?
あかりでも呼んできて『メガド〜ッグ!GoGoGo!』とか。結構いけるかな?
「あの・・・・藤田さん」
「キメ台詞は『Hey!Pappy』か?いや、『ア〜リガトウッ!』も捨て難いなぁ」
「藤田さん」
ぎりぎりぎり。
だ、誰だ!?
慎重に策略を練るオレの背中をつねるのはっ。
「って、琴音ちゃんじゃないか」
俺の背後には、いつのまにか琴音ちゃんが立っていた。
この娘、見掛けによらず力があるんだよな・・・・怒ったときは特に、念動力で増幅してくるからシャレにならねーんだ。
「藤田さん、よく事情は分かりませんけど、ワンちゃんを犠牲にするのはよくないです」
「あ、いやいや、犠牲になるのはあかりだって」
「あ、そうなんですか。じゃあ、構いません・・・・」
構わないのか・・・・そうか。
「ところで、何をなさってるんですか?」
「ん?ああ、ちょっと葵ちゃんを止める・・・・」
はっ!!
瞬間、オレの灰色の脳細胞がビビッと反応した。
そうだ、琴音ちゃんの念動力なら!
「琴音ちゃん!あそこで暴れてる葵ちゃんを”力”で抑えられるかっ!?」
「え・・・・?」
事情が飲み込めずキョトンとする琴音ちゃん。
なかなかかわいい表情なんだが、今は葵ちゃんを止めるのが最優先だ。
「できるか!?」
「え・・・・は、はい。やってみます・・・・」
琴音ちゃんは、少々戸惑いながらも瞳を閉じて強く念じる。
一心不乱という感じだ。
ううむ、今なら琴音ちゃんのスカート内部を見学することも容易なこと・・・・っと、それより葵ちゃんは?
ピキーン!ってな擬音が聞こえてきそうなくらい見事に固まっている。
よし、さすが琴音ちゃん。オレが見込んだだけのことはある。
とはいえ、琴音ちゃんの力にも限界がある。可及的速やかに事を済まさなければ!
オレは、すばやく葵ちゃんに駆け寄り、スカートの下に潜り込んだ。
電光石火の早業でブルマに手をかける。
「こうなりゃ、こっちのモンだぜ!」
そして、一気にそれをずり下ろし------
「あ、ああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!ヒロッ!アンタなにしてんのッ!?」
「見りゃわかるだろっ!ブルマ脱がしてんだよ!」
って、思わず応えてしまう哀しい性。
どーもなぁ、この声には逆らわずにはいられないんだよ。
「鬼畜ッ!変態ッ!人でなしぃっ!!志保ちゃんニュースで糾弾してやるわッ!!」
「うるせっ!今、大事なトコなんだよっ!!」
黙ってろ志保、と言うよりも早く。
「はっ!ヒッ!ふ、ふふふふふ藤田さんっ!何してるんですか!?」
ヤバイ!
琴音ちゃんの集中が・・・・
「琴音ちゃん、意識を集中するんだ!このブルマを脱がせるまではッ!!」
「そ、そんな・・・・確かに私の”力”は藤田さんのためだけに使うと心に決めてはいますけど、こんな悪事に利用するなんてッ!!」
涙目の琴音ちゃん。
違う、違うんだよ〜。
「せ、せせせせせ先輩!!」
あ、葵ちゃん!?
ようやく目を覚まして・・・・
「いや〜〜〜〜〜っ!先輩のエッチぃぃぃぃ〜〜っ!!」
どげしぃっ!!
ひ、膝蹴りが、鳩尾に、直撃、と、は・・・・
たまらず崩れ落ちたオレに。
「このヘンタイ大魔王っ!志保ちゃんが吊し上げてやるわッ!!」
げしげしげし・・・・
容赦無い志保のストンピング。お前のパンティ見ても、うれしくねーし。
「藤田さん!ひどい、ひどすぎます!!」
ビシガキベキ・・・・
琴音ちゃんの念動力攻撃。ふっ、精度も威力も、磨きがかかってるな、琴音ちゃん。
「は、恥ずかしいぃぃ〜〜〜!!」
ああ、葵ちゃん、行っちゃたな・・・・ブルマをはき直して。
目の前が、真っ暗に、なってきた、ぜ・・・・

次に目覚めたとき、センパイが心配そうにオレの顔を覗き込んでいた。
「・・・・・・」
「え・・・・どうやらこの場はしのいだみたいです?」
「・・・・・・」
「エグザムの暴走は止まったってわけ?」
「・・・・・・」
「一時的ってことは、また暴走の危険が・・・・?」
「・・・・・・」
「頼りになるのは、オレだけだって?」
こくこく。
うなずく先輩を見て。
俺は密かに死を覚悟した。


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