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〜自分の道〜

「もう…あきらめようかな…」

さっきから何回こうつぶやいたことか。
真新しい教科書の山に埋もれてる机の上で、頬づえをついて考え込んでしまう。

この高校に入学してから3日間。
休み時間の度に勧誘を繰り返してきたけど、全然効果がなかった…

「私の説明が下手なのかな…」

説明を始めたときにはいつも人が集まってきてるのに、終わりの頃には誰もいない…
一生懸命やってるのに…

「空手部に入っちゃおうかな…」

空手部には坂下さんがいる。この高校に行くことが決まったときからずっと勧誘し続けてくれてるぐらいだから、きっと歓迎してくれるだろう。
しかもこの高校の空手部は、レベルが高いと評判だし…


…だんだん弱気になっていってるのが自分でも分かる。
この性格を直すために格闘技を始めたのに…わたし、ぜんぜんかわらないな…
どうしよう…


自己嫌悪に陥っていると、ふと綾香さんの顔が頭に浮かんだ…


入学式の前日、私は綾香さんのところに相談にいった。
「エクストリームをやりたい。」
その言葉を聞いた綾香さんは、軽く微笑みながら私に言った。
「葵。それが自分で決めた道なら、私は何も言わない。強力なライバルとして歓迎させてもらうわ」
…このときの綾香さんの目…ものすごく真剣だった…


 …そうだ。これは私の決めた道。いままで気が弱くって他人に流されることの多かった私が、決意を持って選んだ道。絶対に挫折するわけには行かない!
よしっ、明日もがんばらなくっちゃ!


   …翌日…


「見学くらいなら…」
「来てくれるんですか!?」
予想以上の返答に、おもわず声が裏返ってしまう。

「いいよ」
うなずきながら答えてくれる。
「ありがとうございます! お待ちしてますから!」


自分で選んだ道…まだまだ始まったばかりだけど…
待っていてください、綾香さん。そして…これから一緒に頑張りましょうね、せんぱいっ!



               〜To be continued 「Toheart」



    あとがきを読む


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