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 エクストリーム。

 俺達が目指していた場所。

 そしてとりあえずの終着点。


 …その先には一体何があるんだろう?


< INFINITY >


 会場を埋め尽くす人の波。
建物を揺らしてしまいそうなほど響き渡る歓声。
今から俺達が向かう舞台。

 その喧噪から少し離れた場所に俺はいた。

 エクストリーム決勝。
対戦相手は…もちろん綾香。
まさに葵ちゃんと俺が目指していたそのものが待っているのだ。

 長いようで、あっという間の半年間だった。

食堂に向かう途中で、部活の勧誘をしていた葵ちゃんに出会い。
半ば勢いに負けた形で練習に参加して、格闘技の楽しさを知った。
坂下との勝負をきっかけにお互いの絆を深めていき。
会えなかった1週間でお互いの大切さを知った。

 …いろいろあったが、2人で力を合わせて頑張った。
全ては今日この日のために。

俺は葵ちゃんがいる控え室のドアをノックした。


「…葵ちゃん、もうすぐだぞ。調子はどうだ?」
俺が声をかけると、椅子に座っていた葵ちゃんがこっちを振り返った。
「…はい…大丈夫です…」
そういう葵ちゃんの声からは、いつもの元気が感じられなかった。
…また自信をなくしたのかな? 葵ちゃんは自分の力を過小評価するクセがあるしな。
「またいつものやつやってやろうか? 葵ちゃんは強いって」
「いえ…そうじゃないんですけど…」
「ん? じゃあなんなんだ?」

 俺が問い返すと、思い詰めたような表情で葵ちゃんが語り始めた。

「…私はこの日を…エクストリーム決勝で綾香さんと戦える日を夢見て今日まで頑張ってきました。
 でも…だとしたら、この先には一体何があるんでしょうか? 
 これから先、私はどうしたらいいんでしょうか?」

 言われてみてはっとした。
俺は今までそんなこと考えてもみなかったからだ。
俺が決勝を前に浮かれている間、この子は一人で悩んでいたんだろうか?
自分の間抜けさが恨めしかった。

 …もっとも、その答えははっきりしているが。
問題にさえ気づけば、解答はある。
俺は葵ちゃんの側へ行き、肩にそっと手を置いた。
そして、目の前にある瞳を見つめる。

「…せんぱい…」
「その先には…多分もっと強い相手が葵ちゃんを待っているんだよ。
 世界は広いし。まだ見ぬ強敵だっていっぱいいるよ」
「世界…ですか? そんな、私な…むぐむぐっ」
 いつもの台詞を言おうとした葵ちゃんの口を指で強引に塞ぐ。
深いため息を一つ吐いて、話を続ける。
「私なんて…は聞き飽きたよ」
「あ…す、すみませんっ」
「エクストリーム以外にも大会はいっぱいあるよ。世界レベルの大会だってあるし。
 いっそK−1でも目指すとか…さすがにそれは言い過ぎか」
「それもいいかも知れませんね」
「…へっ?」
「くすっ、冗談ですよ」
「こんな状況で葵ちゃんの口から冗談が出るとはな」
「えへへ…私だって成長してるんですから」
そう言う葵ちゃんの表情からは、さっきまでの思い詰めた表情はほとんど見えない。
いつもの元気な葵ちゃんだ。
「葵ちゃんがどんどん強くなるのと同じように、綾香や坂下だって強くなっていくだろうし…
 でもさ、よく考えたらまだ綾香と戦う前なんだよな…ちょっと気が早くないか?」
「あっ…」
今度は顔を真っ赤にしてうつむいている。


「…確かに今のところの終着点かも知れないけど、それが本当の終わりって訳じゃ
 ないんだよ。まだまだ先には無限の未来が広がってるし。
 大変かも知れないけど…2人なら越えていけるさ」
そう言って、俺は葵ちゃんをそのまま抱きしめた。
「あっ…せ、せんぱい…」
そう言いながらも葵ちゃんも体を俺に預けてくる。

「それに…」
「…えっ?」
「俺だけじゃない。葵ちゃんのことを好きでいてくれるみんなが一緒だよ。
 綾香や坂下とか。それにあかりや志保、マルチや琴音ちゃんも今日の決勝は
 応援に来てくれるってさ。みんな、葵ちゃんのことが好きなんだよ。
 他にも…きっとファンがいっぱいいたりしてな」
「からかわないでくださいよぉ……でも、そうですね。
 いろんな人のため…そして何より先輩のために、私、頑張ります!!」
そう言った葵ちゃんからは、完全に迷いが消えていた。
いつも通りのまっすぐな瞳。
これならいい試合が見れそうだな。


「さて…そろそろ時間だな。行こうか、葵ちゃん」
「あ、はいっ! でも、その前に…」
葵ちゃんはそう言うと、いきなり俺の目の前に顔を近づける。
不意打ちで襲いかかる唇の感触。
「あ、葵ちゃん…」
俺の返事を聞かず、葵ちゃんは控え室を出ていった。

「行きましょう、先輩! 私、頑張りますっ!!」



< 完 >



(後書き)
「葵ちゃん応援ページ!」70000ヒットおめでとうございます〜(^_^)
…ついでに「〜拳で伝える、熱き想い〜」20000ヒットをこっそり祝って(^_^;;;)
記念のSSです〜もらってやってください〜なんて言わなくても搾取されるな(大笑)。

 葵ちゃんの今後の発展を祈って…がテーマです(笑)。
後半の内容とタイトル…葵ちゃんは永遠だぁ〜〜〜っっ!!!!…なんか危ない人だな(爆)

 まぁ内容にかなりの強引さを感じますが気にしないでください。
なんとからぶ〜なのも詰め込みたかったのさ、記念SSだし(^_^;;;)

 ま、私自身これからも葵ちゃんファンで有り続けるぞ〜てな決意のあらわれかな。
最近だよもん作家だったし。私は葵ちゃんSS書きなんだ〜(魂の叫び)

 それでは、目指せ10万ヒット!! 頑張ってね〜(^_^)>ひろりん


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