SSのお部屋に戻る   トップのページに戻る


レミィその2「タレント」

「ヒロユキ、ヒロユキは好きな男のタレントいる?」
 休み時間、レミィは明日の宿題でも思い出したように突然そんなことを聞いてきた。
「男のタレント?そんなこと聞いてどうすんだよ?」
「いいカラ答えてくだサ〜イ」
 なんとなく、陽気な人種柄というのも一歩間違えれば謎めいて感じるかもと思いながら、俺は滅多に考えること
もないようなことを思案に走らせていった。
「男のタレント男のタレント……」
 そんなのいるかぁ?でも、レミィのことだから「いない」って言ってもしつこく付きまとってくるんだろなぁ。
 とりあえず適当に……お、そうだ。
「そうだな、俺はキムタクなんか好きだな。やっぱカッコイイし」
 思考の末、俺はまず一般的にもメジャーな彼を無難と見て答えに選んだ。
 しかし当のレミィはというと、
「…What?…キムタク?カラ〜イお漬け物のことですカ?」
 そりゃキムチだ。なんてあえてツッこまない。
「なんだレミィ、まさかキムタクも知らないのか?“タクヤ キムラ”」
 レミィがアメリカ人だということを考慮して、俺は最後に英語でも日本人の名前の呼び方でそう言った。
 するとレミィは理解したようで、
「ア〜ア〜、それならアタシ知ってるヨ!」
 ご満悦そうに手をポンと叩いている。
「オイシーよネ!」
 ………はぁ?
「おいしい?なに言ってんだレミィ?」
 俺が聞くと、レミィはやたらとテンションを上げて、
「イッツデリ〜シャス!“TAKOYAKI”!」
 とリアクション付きで言った。
 はしゃぐレミィを横目にわけがわからないまましばらく考えていると、俺はハッとあることに気づいた。

  タクヤ キムラ → タコヤキムラ →たこ焼き村?

 わかってみると実につまらない聞き間違いだった。
 しかしレミィは間違えてもボケているわけがないということはわかっていた。素で天然なんだ。
 でもま、当のレミィは楽しそうだし、このままでもいいか。

 しかし男のタレントを聞いてきながらたこ焼きで納得するのもどうかと俺は思った。

 −END


 いや、ふと思いついたことをネタにしただけです(^^;

SSのお部屋に戻る   トップのページに戻る