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琴音その1「暴走」

 
その日、彼女のバイオリズムというものは最悪だった。

『パリーン』
 ガラスが割れる音がした。
 がやがやと人が集まってくる。

「ああ………」
 またやってしまった、と言わんばかりに琴音は苦悩した。
「琴音ちゃん…」
「……もういやっ!」
 彼女と一緒にいた浩之が何か言ってくる前に、その場から逃げ出すように走り出す。
 なぐさめの言葉はいらない、もうほっといてくれ、と言わんばかりに。
「琴音ちゃん!」
 それを追って浩之も走り出した。


「うわっ!(通行人A)」
 ぼーっとして歩いていた通りすがりのオッサンが溝に足を踏み外して声を上げた。
「ああ!また私のせいで通りすがりのおじさんが溝に足を!」
「いやそれは違うぞ琴音ちゃん!」

「しまった、コーヒー間違えて熱いの押しちまった!(通行人B)」
「ああ!また私のせいで自販機のボタンの押し間違えが!」
「いやそれも違うだろ琴音ちゃん!」

「あー今日もいい天気だなぁ(通行人C)」
「ああ!また私のせいでヒゲムサいおじさんがなんだか爽やかに!」
「いやそれは失礼だろ!」

「トイレに紙がないっ!?(近くの家から)」
「ああ!また私のせいでどこのだれだかわからないたぶん20歳前半くらいの男の人がトイレで!」
「いやもうわけわかんなくなってきてるし端からみたら変な2人だぞ俺たち……」
「ああ!また私のせいで浩之さんが私の悪口を!」
「いや今のは謝るから…」
「ああ!また私のせいで浩之さんが3秒後にトラックに引かれる!」
「取り乱してるようでなに気に冷静に怒ってるだろ琴音ちゃん………」

……………エンドレス☆

ーEND

【ひとこと】「暴走」
 この2人のコントがなに気に一番好きです(^^;;

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