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その2「重要」

 
あの晩、オレは玄関のドアを開けてびっくりした。
 そこには試合前の葵ちゃんが真面目な表情をして立っていたのだ。
 そして彼女はオレにこう告げた。
「先輩はこのまま部活を続けていただけるのでしょうか?」
 オレは迷った。
 目線を下に落としてしばし考える。
 しかし、その数秒後にはオレの注意は別の所に行っていた。
「葵ちゃん……その足にくくりつけてあるロープとその端に付いてるタイヤの数々はなんだ?」
「先輩!今私は重要な話をしているんです!」
「いや、それは誰が見ても不自然な気がするんだが」
「はぐらかさないでください!」
「いや、ちゃんと考える。ちゃんと考えるよ。でもその思わずン十年前の野球マンガを思わせるような格好としているのと、今気づいたけどなんで葵ちゃん鉄下駄履いてるのかが気になって考えようにも…」
「先輩!私は真面目に聞いてるんですよ!」
「いや、オレもかなり真面目にそう思ってるんだけど」
「先輩っ!」
「あー葵ちゃん勢い余って足を叩きつけるのはやめてくれ!地面に穴が空いてるって」
「なんでそんなことばっかり言ってごまかすんですか!?」
「あ〜あ〜あ〜玄関が崩れる〜〜!!(切実)」
「先輩が悩むのもわかります。確かにまだ同好会で部費も出てないし部員も規定の数まで集まっていません。それでも今は大会に出場して名を挙げることを目指して日々苦しい練習をしていくのが…」

−(強引に)END


【ひとこと】「重要」
 近所にご住まいの神岸あかりさん(16)の話によると、次に藤田浩之宅を訪れた時はもう既に原形をとどめてなかったそうです(爆)




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