その1「部員勧誘」

 その日、浩之は一人で登校していた。
 
「よろしくお願いしまぁす!」
 校門前まで来て、浩之は先から聞こえる女の子の声に気づいた。
「格闘技同好会です!ぜひ一度見ていってください!」
「(格闘技同好会?そんなもんウチの学校にあったか?)」
 そう思いつつも、足を校門へと運ぶ。

「それにしても……」
 女の子の10メートル手前くらいで浩之はひとりごちた。
「全然相手にされてねぇみたいだな……」
 先で配られているチラシも、誰も受け取っていないようだ。

「あ、よろしくお願いしまーす!」
「ん」
 興味半分でチラシを受け取る。
 すると葵は、彼の他と違う反応に一時勧誘をやめ、興味心身に浩之に話しかけてきた。
「格闘技に興味がお有りですかぁ!?」
「いやまぁ……ないことはねぇけど…」
「あ、それでしたらあちらでお話を聞いてもらえないでしょうか?」
「まぁ…話だけなら」

「……というわけなんですけど、入会してみませんか?」
 長々と渡る話が終わって、葵は最終的な結論を浩之に問いかけた。
「…そうだな。高校に入ってから部活もなんも入ってなくて身体もなまってきた頃だし、ちょっとくらいやってみっかな」
「本当ですか!?では入会金2万円いただきますっ!」

 (……………)

「……い、今なんて…?」
「ですから、入会金2万円……」

「そんなの聞いてねぇって!正式な部にするために部員を集めてるんじゃなかったのか!?」
「でも部費も集まらなくては活動もできませんし……」
「ならやめだ。悪ぃ、やっぱり入会できそうにない…」
「それならキャンセル料5万円いだだきます」

−END

【ひとこと】「部員勧誘」
 こんな葵ちゃんイヤ、みたいだよ……
 詐欺紛いの勧誘はやめましょう(^^;;)



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