あかりその1「くまちゃん」

 あかりは早起きしていた。
 今日は浩之との約束で、昼ご飯の弁当を作ってあげる約束をしているのだ。

「どんなのにしよーかな……」
 律儀にエプロンまで付けて思索にふける。
「前はくまちゃんスパゲティだったし、その前はくまちゃんグラタンだったっけ……」
 聞いていてどんな弁当なのかは予想がつきそうでつかない所がまた怖い。
 というより、弁当にグラタンという所で間違っている気もするが。

 しばらくなやんだあげく、あかりの頭の中に一つのアイデアが浮かんだ。
「そうだ!今日は特製くまちゃん弁当にしよっと!」

 そして昼休み。

「浩之ちゃん、今日はお弁当作ってきたんだよ〜」
「……あかり、その後ろに立ってる熊はなんだ?」
「お弁当だよ?今日は特製くまちゃん弁当なんだ♪」
「いや、でも動いてるし…」
「お弁当箱もクマちゃんにしてみたんだ♪」
「いや、でも2足歩行してるし…」
『………ぐおう』
「このお弁当箱の中にいろいろ入ってるんだよ〜♪」
「いやいや」
「まずはくまちゃんウィンナーにくまちゃんサラダ…」
「いやいやいや」
「それにくまちゃんハンバーグに極めつけは…」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや」
『ぐおう』

−END

【ひとこと】「くまちゃん」
 凝りすぎるのもほどほどに☆


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