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勉強しますっ!

                  著者・枕木


朝…、今日もいつもどうりに眠い…。
ピンポーン…
朝…、俺はまだ夢の中…。
ピンポーン、ピンポーン…!
そうだ…。朝は寝ているべきなのだ…。
タッタッタッタ…
俺はまだ寝て…
「おはようございまーす!!」
「わあっ!?」
がばっ!
俺はベットから、勢い良く起きあがる。
「え?え?って…、葵…ちゃん?」
「はいっ!あ、驚かせてしまったみたいで…すいません……」
「あ、それは別に…。で、でも、鍵は?」
「あ…、先輩のおばさまが、上がって起こしてやって、と言いましたので…、
 少し、気が引けたんですけど…」
「な、なるほど…。あ…そうだ」
「はい?」
「おはよう、葵ちゃん!」
「あ。おはようございます!先輩!!」


俺、「藤田浩之」は、高校三年になった。
まあ、実際、かなり危なかったが…。
そして、葵ちゃん…「松原葵」は高校二年生。
俺達は今、付き合っている。


通学路にて…。

「先輩達も、もうすぐテストですよね?」

近頃、俺達は一緒に登校している。いつもはあかりもいたりするが、
今日は、日直で早いらしい。そして毎朝、こういう会話をしながら、登校している。

「いや、三年は卒業製作の準備とかあるから、テストはないんだ」
「えー、いいなー…」
「まぁ、俺も二年の時はそう思ったもんだよ」
「はぁ…。でも私…、勉強苦手で…。二年生になって、勉強も難しくなったし…」

俺の知る限りでは、葵ちゃんが補習の類を受けたという話は聞かない。
俺と違い、苦手でも(ヤル気)と(根性)があるから、とっぴょうしもなく
悪い点は無いのだろう…。

「ま、大丈夫だとは思うよ。なんたって葵ちゃんなんだから」
「先輩ー。それ、何の根拠もありませんよー…」
葵ちゃんは、不安げな顔でこっちを見ている。
「んー…、そんなに、心配なの?今までだって、何だかんだで乗り切れたじゃん」
「でも…、今までは今までで…。今回もなんて確証は…」
ま、いつも、いきあたりばったりの俺と違うか…。
「よっしゃ!なら…」
「なら?」
「俺が…」
「俺が?」
「家庭教師を見つけてきてあげよう!」
葵ちゃんが軽くコケる。
「あのー…、先輩が教えてくれた方が…」
「葵ちゃん」
俺は葵ちゃんの肩を軽く叩く。
「はい?」
「俺に教わったら…進級できないかも…」
「へ?」
「と、いうわけで。明日までには、探しておくから」
「あ。は、はい!よろしくお願いします!」


そして、帰宅後…。

「とは、言ったもののなー…」
俺は、家で電話帳を広げていた。
「誰がいいか…」

まず…、あかりは無理だ。あいつも人に教えるほどできるわけではない。
志保は…問題外だな。卒業すら危うい奴だ。
来栖川先輩は…、大学だったか。物理的に無理か…。
委員長は…、そう簡単にはハイとは言わないだろうし…。
レミィは…、アイツも基本的に勉強は駄目だし、英語も…前回、教えてもらうのは無理と
身をもって痛感したし…。
琴音ちゃんとマルチも、二人とも葵ちゃんと同学年だし…。
理緒ちゃんも…不可能だろう…。

「んー…。後は……」
俺はぱらぱらと電話帳をめくる。そして、数分後…
「あ、そうだ!あいつがいた!!」
ピッピッピ…
「あ、もしもし…?」


そして…次の日の登校中…。

「で、ちゃんと見つけておいたよ。家庭教師」
「え!?本当ですか!」
「うん。放課後に俺の家で勉強だから、部活は今日は中止な」
「あ。はい!わかりました!」

そして、放課後…。

俺と葵ちゃんは一路、俺の家にむかった。

「で、先輩。先生ってどんな方なんですか?」
「ま、行ってみればわかるって」
「あーら?二人並んで、仲良く帰宅?」
驚きの表情でふりむく葵ちゃん。そこには…
「あ、綾香さん!?」
「おー、早いじゃねーか」
きょとんとして、状況がつかめていない葵ちゃん。
「じゃあ…家庭教師の先生って…」
「そ、アタシよ!」

そして、浩之の家…。

「しかし、勉強の事で悩むなんて…、葵らしいわね」
「あ、あの、すいません…。忙しいのに…」
「なーに言ってるの!かわいい後輩のために一肌ぬぐのは上級生の務めってもんよ。
 ねー、浩之?」
「ああ。それに、綾香なら葵ちゃんも面識あるし、やりやすいかなって」
「あ、そ、それはそうですけど…」
んー…。もしかして、逆効果だったか?
「さ。じゃあ、始めましょうか?もちろん、浩之もやるのよ?」
「ゲ!なんで俺まで?」
「あんた…、人に勉強させといて、自分だけぐうたらする気…?」
うう…、綾香の鋭い視線と、葵ちゃんの涙目の視線が痛い…。
「わーったよ!やるよ…」
そして、勉強が始まった。

一時間後…。

「何で、こんなのが解けないの!」
俺は綾香に教えられていた…。
「ほら、葵はもう解けちゃってるわよ…。あんた、上級生でしょ?」
「あ、あの!この問題は昨日、偶然、予習してたので…。先輩は、もう、長いこと
 やってないから、忘れているだけだと…」
うう…、葵ちゃんの悲痛なかばいが痛い…。
「それでもね、葵。私たちには大学入試があるんだから、このくらい解けないと…
 ねえ?浩之」
グサグサグサ…!
「は、はははは…。大丈夫!俺は追い込みに強い男だー!」
もう…、笑うしかなかった…。
「はい、はい…。じゃあ、次のここ、二人とも解いてみて」
「おい…、じゃあ、お前は出来るんだろうな…?」
「モチロン♪。ほら…」
すらすらすら…
「……」
「綾香さん…、すごいです…!」
「ダテに寺女で学生やってないって。けっこうランク高いんだからー」
「……。まいった…」

こんな感じで(半ば俺の)テスト勉強は続いた…。

で、時は過ぎ…、定期テスト結果発表日。

「どうだ、葵ちゃん。今回の手応えは?」
「えーと…、まあまあでした…。でも、綾香さんに教えてもらった所も
 結構、出てましたし…」
「あいつは、ヤマをかけるのも天才的か…?」

ざわざわざわ…

「お、張り出されたみたいだな」
「そ、そうみたいですね…」
「まぁ、まぁ…そんなに緊張しなくても…。どれどれ…」
…………
「葵ちゃん!見てごらんよ!」
「…へ?あっ!」

(掲示板、部分ズーム)[三十ニ番・松原 葵]

「校内、三十二番なんて、すごいじゃないか!」
「あ…。ハイ!先輩のおかげです!!」
がしっ
だきついてくる葵ちゃん。
「あ、葵ちゃん…。公衆の面前では…」
「あ…」
真っ赤になってはなれる葵ちゃん。ま、俺としてはうれしいいんだけど…
「とりあえず、万事、うまくいったな…」

そんなこんなで、葵ちゃんのテストは大成功で幕を閉じた。


その後、俺が葵ちゃんのテスト祝いと、綾香への家庭教師の代金のかわりに
二人にラーメンをおごったのは、また、別のお話…。
                               END




あとがき

どうも。枕木と申す者です。今回は、葵ちゃんネタで行ってみましたが、
んー…、未熟者ですので、多少、変なところは見逃して下さい…。
次も機会とネタがあれば…。                では…。


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