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【ある日ある時先輩と。】



 今日はいつもより早起きした松原葵です。

 なぜかって?

 それは今日は先輩とデートだからです☆







 身支度を整え、私は家を出ました。

 今日は先輩の提案で、少し遠くの山にピクニックに行くことになってました。

 というわけで、駅に向かいます。

 あ、手作りのお弁当も忘れないようにしなきゃ。



 駅に着くと、改札の向こうで先輩が待っていてくれました。

 先輩の家から一番近い駅は今日の行き先の途中なのに、わざわざ反対方面の駅まで来てくださったんです。

 昨日電話で待ち合わせ場所を決めた時は、先輩の家の近くの駅で待ち合わせ、ということになってたから私はびっくりしました。

「おはようございます先輩。……どうしたんですか?待ち合わせ場所はここじゃないのに…」
「あ、いやな、久々のデートだから遅れたらまずいと思って早めに家を出たんだけど、なんか1時間前に着いちゃってさ、待ってるくらいだったら、ってな」

 あらあら。

 確かに前のデートの時は先輩の寝坊で、私2時間も待たされたんです。

「あ、でも切符は行き先のヤツを買ったから、ホントはここにいちゃまずいんだけどな」

 照れ隠しをするように悪ぶってるのが見え見えです。

 でも、先輩のそんなところがまた……その……す…好きなんですどね。

 …………。

 自分で考えておきながら恥ずかしいです……。

「さ、いこっか」
「ハイ!」

 それから私たちは電車に乗りました。

 目的地まではけっこう駅数があります。

 快速電車に乗れば早く着くんですが、今日は時間もたっぷりあるし、天気もいいし、普通電車でのんびりと行こうって2人で決めてたんです。

 席も隣同士に座れて、さあ出発、という時に、私はとんでもないことに気づきました。

「あっ!」
「? どうした葵ちゃん?」

 す、少し向こうの席に座ってる人たち、それはまさに……

「(先輩…クラスメイトが乗ってるんです……どうしましょう?)」
「え?なんだって?」

 どうやら私の声が小さすぎて聞こえなかったみたいで、先輩が大声で聞き返してしました。

 とはいっても別に先輩は普通に言っただけで、私が神経質になりすぎてたんですけどね。

「(だからぁ、向こうにクラスメイトがいるんですってば!)」
「……なんだそんなことか。いいじゃねぇか。俺と葵ちゃんは付き合ってるんだからよ」
「一一一☆▲>_×!??」

 不意打ちを食らって、私は言葉通り頭をガラスにぶつけてしまいました。

「だ、大丈夫か葵ちゃん!?」
「…………………………バカ」

 お陰でおもいっきり気づかれちゃいましたよ先輩……

 月曜日に学校でなんて言われるかなぁ……(泣)

 それにしても先輩、なんで先輩はそんなことを堂々と公衆の面前で言えるんですか……



 そんなことを気にしながら電車に揺られていると、ようやく到着駅に着きました。

 ここからはなんと、ロープウェイに乗ります。

 私はロープウェイは小さい頃乗ったっきりなので久々で楽しみです。

 先輩は何回か来たって言ってたけど、誰か女の人と来たのかなぁ……なーんて!

 そんなことより、今先輩とデートをしているのは、間違いなく私、松原葵なんだから!



 ロープウェイが山を登っていくにつれて、そこから見える景色もどんどん大きくなっていきました。

 私は子供みたいに窓に張り付いて景色に見入っていました。

 普段そんなことをしたらみっともないんですが、運良く今日は他に誰もお客さんがいなくて、私と先輩2人の貸し切りみたいだったんです。

  なぜか横で先輩がぎこちなさそうに体をもぞもぞさせているのが目に付きましたが、滅多に見れない街の景色に見とれていた私はなにも気にしませんでした。

 そのままロープウェイは頂上に着きました。

 なぜか先輩は悔しそうに頭をかきむしっていました。

 ? 変な先輩?これからがデートの本番なのに。



 それから私たちはしばらく歩き回り、見晴らしのいい丘を見つけたところで少し早めのお弁当を取ることにしました。

「葵ちゃんが弁当作ってきてくれるって言ってたから、俺今日朝なにも食ってないんだよ」

  笑いながらそう言う先輩が、また格好良く見えました。

 でも、大丈夫ですよ先輩。

 そんなことだろうと思って、今日はいっぱい作ってきましたからね!

 こう見えても私、ふ、藤田先輩の…か、かか彼女なんですからね!

 ……………。

 どうやら私も成長しなければならない所があるようです。



 長く、ゆったりとした時間の中で、私たちはお弁当を食べました。

 春の穏やかな風が吹いて、とてもすごしやすかったです。

 ………でも…

 でも、山の天気は変わりやすい、というものなんでしょうか。

 私たちがちょうどお弁当を食べ終わるころには、西空には黒い雲が広がっていたのです。







「……まずいな……」

 突然先輩が不安そうに言います。

「…?どうしたんですか?」

「上を見てみな」

「えっ?」

 上を見てみると…

「あっ!?」

「ま、そういうこった」

 さっきまで晴てたのに…
 そこにはいつの間にか雨雲がたまっていました。

「そんな、せっかくいいお天気だったのに…」

「まあ…こうなってしまったものはしかたない、とりあえず雨宿りできそうなところ を探そう」

「はい…そうですね…」

 あーあ…せっかくピクニックに来たのに台無しになっちゃった…
 残念だなぁ…

 でも、先輩にお弁当を食べてもらえただけでよしとしようっと。

 私たちは、山を下りながらどこか雨宿りできそうなところを探すことにしました。
 そうしているうちに…

 ポツッ…ポツッ…

 ついに雨が降り出してきてしまいました。

「やべぇ…ついに降り出してきちまったな…」

「こんな事なら傘持ってくるべきでした…」

 こんなふうになるなんて全然考えてなかったから…
 傘、持ってきてないんですよね…
 今度から気をつけよう。

「あっ、見ろっ!!葵ちゃん!!!」

「えっ!?」

 突然先輩が声を上げます。その先には小さな山小屋らしきものがありました。

「葵ちゃん!!あの中に入るぞ!!!」

「えっ!?でも、人の家かもしれませんよ?」

「構うか!こんな状況に置かれてるわけだから、中に人がいてもわかってくれるだろ う!!」

 あはは…最近わかってきたんですが、こういう強引さが先輩の凄いところです。

 ガチャ!

 私たちは山小屋の中にかけこみました。
 幸か不幸か、中は真っ暗で人が住んでいる様子はありませんでした。

「真っ暗ですね…」

「ま、目がなれりゃなんとかなるだろ」

 そう言って先輩が歩き出しました。

「せ、先輩!?危ないですよ!」

「ははは…大丈夫だって、なにも心配は…どわっ!?」

 バキッ!!

「先輩!?」

「…大丈夫だ…床が抜けただけだ…」

「先輩…こんなところでケガなんてしたら大変なんですから、気をつけてくださいよ
ね!」

「ああ、わりぃ…気をつけるよ」

「はい…もう一人で練習のは……つらいですから…」

「葵ちゃん…」

 ハッ!?私なに言ってるんだろう!?

「せ、せんぱい、あの…その…今言った事は…えーと…」

 ふぇ〜ん、せんぱいに笑われてるよぅ〜…

「せんぱ〜い…そんなに笑わないで下さいよぅ…」

「はははは…いや、すまん。あんまり葵ちゃんがかわいかったんでな」

 ボンッ

「ん?どうした?耳まで真っ赤だぜ?」

「え、え〜と……」

 もう…せんぱいのいじわる…

「で、でも今のは本当に気にしないで下さいね」

「?どうしてだ?いいじゃねーか」

 そう言って先輩は笑います

「で、でも、私のわがままで先輩を拘束するわけにはいけませんから…」

「葵ちゃん…」

 先輩がちょっと目をつぶってなにかを考えた後、ゆっくりと私を抱きしめます。

「え!?あ、あの…」

「葵ちゃん、そんなこと気にすんなよ。俺は葵ちゃんのためならなんでもするぜ…俺 は葵ちゃんが…好きだからな」

「せんぱい…」

 せんぱいがゆっくり顔を近づけてきます。私はゆっくり目を閉じました…

 と、そのとき!

 ガタッ!

 外から音が聞こえました。私たちは反射的に離れます。
 そして入り口を見ます…すると

「ふ〜…ひどい目にあったわ…」

 と、言いながら入ってきたのは…綾香さん!?

「あら、葵と浩之じゃない。元気してた?」

「あ、綾香さん!?」

「綾香!?どうしてここに!?」

「姉さんもいるわよ」

 と、綾香さんがいうと、ひょいっと後ろから芹香先輩が顔をだします。

「…………(こんにちは)」

「いや〜姉さんといっしょにピクニックに来たら急に雨が降ってきてね…で、雨宿り
できる場所を探してたらここに行きついたってわけ」

「あ、そうだったんですか。じゃ、綾香さんも私たちといっしょですね」

「え?葵たちもそうなの?」

「はい、そうなんです…道もわからなくなっちゃったし、困ってたんですけど…」

 あ…そうだった…今自分で言って思い出しましたが、そういえば私たち道がわからな くなっちゃったんですね…

 と、私が思っていると…

「なるほど、そーいうことだったのね。だったら大丈夫よ。そろそろ来るから…」

「えっ…なにがですか?」

「……まさか!?」

 先輩がハッとして、なにか思いついたようです…すると…

「おじょおさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!! !ここでございますかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 と、耳が痛くなるほどの声を叫びながら人が入ってきました。

「やっぱりな…」

 と、先輩があきれたように言います。
 そして、そこにいたのは…

「探しましたぞ、お嬢様さまがた…さ、はやくヘリの中へ…」

 以前先輩から聞いた事があった綾香さんたちの執事、セバスチャンさんでした。

「まって長瀬さん。これこれこう言うわけで、葵たちも乗せてあげられない?」

「ハッ、わかりました。では、いっしょにまいりましょうか…おふたがた」

「ま…まて!!」

 そう言われると先輩が突然あせり出します。

「お、俺はまだいっしょに行くなんて言ってないぞ!!!」

「えっ?でも、私たちだけじゃ、道がわかりませんよ?先輩?」

 そう言うと、先輩は顔を歪めながら

「…くっ…しかたないな…」

 と言いながら、なぜかしぶしぶといっしょにヘリコプターに乗り込みました。

「でも、どうやってジジィをよんだんだ?しかもジジィはなんでこの場所まで知って やがったんだ?」

 そういわれてみれば…セバスチャンさんどうやって私達がここにいるってしったんで しょう?

「簡単よ。私が携帯で呼んだのよ。ちなみに発信機がついてるから場所もわかるの よ」

 あ、なるほど…さすが綾香さんたちはすごいですね…私、けいたいなんて使い方もわ からないのに…

 そして、しばらくたつとヘリがとまります。
 どうやら先に先輩の家についたようです。

「さあ、藤田殿、つきましたぞ」

「先輩、今日は本当にありがとうございました!また、いっしょにいきましょう!!
!」

「あ、ああ、そうだな。またいっしょにいこうな」

 そうして、先輩はヘリコプターのはしごを降りていきました。
 でも、なにか様子が変だったような…気のせいですよね。

 あれ?でも、あの山からなら私の家のほうが近いはず…
 なんでわざわざ遠回りしたんでしょう?

「あ、あの…」

 私はさっそく綾香さんに聞いてみました。

「…?なに?葵?」

「あの…あの山からなら私の家の方が近いのに、どうして遠回りしたんですか?」

「ああ、そのことね…ちょっと葵に聞きたいことがあってね…」

「?なんです?」

 そう返すと、綾香さんは私に顔を近づけて、何か耳打ちします。

「…(…私たちが来るまで、あの中で何してたの?)」

「………………」

 ボンッ!!

 そ、そうでした…あんまり突然綾香さん達が来たから忘れてた…
 わ、私と先輩は…あの時…

「ねぇ、なにしてたのよ」

「え…え!?えっと…う〜と…な、なにも…してないです…」

「フフ…本当かしら?」

「ほ、本当ですよ…」

 いちおう嘘はついてませんが…はぁ…途中でやめちゃったんですね…
 先輩にも悪いことしちゃったかな…

「ま、いいわ。それだけだから」

「あ、はい…」

 そうしているうちに私の家についたようです。

「では、綾香さん…さよならです」

「うん、また会いましょ。ばいばい、葵」

 こうして、私の1日は終わりました…





 そのころ、藤田浩之君

「ちきしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!綾香のバカヤローーーーーーーーー !!!! なんであんなタイミングで入ってきやがるんだーーーーーーーーーーーーー!!!!」

「浩之、さっきからうるさいわよ!!」

「…………」

 人生そんなに甘くはない…か…しかし!俺はあきらめないぞ!!待っていろ!!葵 ちゃん!!






 浩之君は固い決意を決めたとさ。


 終わり〜






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 【おまけ・馬鹿宇宙物体劇場】  Written by 火鳥

浩之「………おい」
火鳥「はい、なんでしょう浩之くん?」
浩之「なんだこの話は……?」
火鳥「? お気に召されませんでした?」
浩之「当たり前じゃボケえええぇぇぇぇ!なんで俺こんなみっともない役になってるんじゃあああぁぁぁぁ!」
火鳥「(首を絞められながら)ぜ、全然…みっともなく……にゃ……ひ…ぞ…」
浩之「(手を離して)じゃあ『もぞもぞ』ってなんだよ……?」
火鳥「(ぎくぅ!)そ、それは……自分が一番よく分かってらっしゃるんじゃないですか?」
浩之「(突然落ち込みだして)……そうさ……俺はこのことがショックでついにしてない4日目突入……って何言わせるんじゃあああぁぁぁぁ!!!!」
火鳥「ぐえええぇぇぇぇ〜〜〜〜(そろそろ息の根が止まる頃)」

 (こきっ)

火鳥「…………」(←泡吹いてる)
浩之「あ、オチたか……まぁいいや。それよりもう1人はどこに……」
葵「せんぱ〜い!」
浩之「おお葵ちゃん」
葵「せんぱい、これがこっそり逃げようとしてましたよ」
Ryo「……うう」
浩之「おおっ!でかした葵ちゃん」
葵「とりあえず捕まえておきましたけど、どうしましょう?」
火鳥「(死の世界から突然起きあがって)何ぃ!Ryoくん!葵ちゃんに首根っこをつかまれて運ばれてくるなんてうらやましいぞ!代わってくれ!俺と!今すぐ!」
浩之「いーからお前は死んどけ(ぐきっ)」
火鳥「……きゅう」
Ryo「ああ、火鳥さ〜ん!」
浩之「お前もすぐに同じ世界に送ってやるから安心しろ」
Ryo「にゃ〜ん」
浩之「ネコのふりをしても駄目だ」
Ryo「あうー」
浩之「誤魔化しても駄目だ」
Ryo「うぐぅ」
浩之「ゲームが違う」
Ryo「そんなこと言う人、嫌いです〜」
浩之「………気が変わった。葵ちゃん、こいつで崩拳の練習することを許可する」
Ryo「本望だ!!」
葵「分かりました。ちょうどサンドバックが破けた所だったんです。じゃぁ先輩、これもらっていきますね〜」
Ryo「うわ〜火鳥さ〜ん(とか言いながらめちゃめちゃ嬉しそうな顔しながら引きずられていく)」
火鳥「……り、Ryoさんばっかズルい〜」
浩之「心配するな。お前は今から俺が殺してやる」
火鳥「よ、世の中不公平だ〜〜〜〜〜」

ーEND 

(※この内容には意味はありません)





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 −あとがきです−

 【By 火鳥】
 この度、チャットでお世話になってるRyoさんと共同SSを作ってしまいました火鳥です(^^;;
 いやいやいや、葵ちゃんは可愛いですねぇ。もうホント抱きしめたいくらい可愛いですねぇ(ムツゴロウさん口調)
 
 ちなみに前半は火鳥、後半はRyoさんが作っています。
 シナリオは火鳥が考えるー、ということで、今回ジャンルはRyoさんのものを採用しました。
 Ryoさんの意見、「超ほのぼのがいいなぁ」。
 完成結果、「超ラブラブですね」。

 …………まぁ良いのではないでしゃうか(笑)

 ラブラブやほのぼのは自分の苦手とするジャンルなんで、個人的にこの作品は新鮮で超お気にです(^^
 それにしてもRyoさん……ラブラブの立て方めちゃ巧いよ……いっそ「柱」もこっちの路線で行くというのは(ぉぃ

 まぁとにかく、この作品がなかなか良い出来に仕上がったのも信頼する相棒(勝手に決めた。今決めた)のRyoさんのお陰です。
 本当にありがとうございましたー(^^

 それではこの辺で失礼します。     火鳥 

 【By Ryo】
 ふぅ…いろいろありましたが、なんとか書き上げました…
今回火鳥さんに迷惑かけまくりだったんですが、ほんとうに申し訳ない。

しかし…今回ほのぼの系ははじめてでしたが、むずかしい…
やはりまだまだ修行がひつようですね。
芹香先輩、いるのに一言しかしゃべってないし(爆)

余談ですが、最後のほうで「浩之ー!さっきから…」って言っているのは浩之の母親
です。
たまたまお仕事から帰ってきてたんですね。と、いうことで…(笑)

とりあえず、親愛なる友(例によって勝手に決める 笑)火鳥さんは満足してくれた
ようなので、よかったです。

私もこれからもっと修行して、うまいSS書けるようになるためにがんばります。

これからも葵ちゃんと瑞穂ちゃんの幸せな姿を描くぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!!(爆)


失礼、みなさんも今回の作品が満足のいくものと感じていただければ、うれしいで
す。

では、これからもよろしくお願いします。                   
Ryo
  

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